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バイリンガルナース・マーメイド 魁生峰子さん(ハワイカピオラニ・ウーマン&チルドレン病院)

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2013年10月、私は『オクトーバー・ピンクフェスト』という、

乳がん啓発イベントをホノルルで行いました。テーマは「西洋医学、東洋医学」。

その際に西洋医学の部のゲストスピーカーとして、日米の乳がん事情をなんと、

日英両語バイリンガルでプレゼンしていただいたのが、今回ご紹介する、

魁生峰子 (かいしょうみねこ) さんです。

笑顔が少女のように優しい、私たちハワイ女性にとってのナイチンゲールです。

 

水玉ライン

Q1. Kaisho さんの簡単な経歴をご紹介いただけますか。

1969年神奈川県川崎市に生まれました。

地元の県立高校卒業後は横須賀市にある看護学校へ入学、卒業後は横須賀市の病院で3年半 精神科、小児科、NICUの看護師として就業しました。

その後趣味でしていたウィンドサーフィンを通じてハワイに来て以来ここに住みたいと思い、こちらでRNの試験を受けました。

合格後は永住権を取得し、カイザー病院で内科と外科の看護師として働きながらこちらの大学院へ通い、ナースプラクティショナーとなりました。

日本ではまだあまり知られていない役職ですが、診察、診断、薬の処方や検査のオーダーが出せる看護師です。

ナースプラクティショナーとなってからは病棟、一般内科と総合診療科の外来で経験を積み、現在はカピオラニ病院の女性センターで、ハイリスクブレストプログラムと低所得者層の乳がん子宮頸がんのスクリーニングプログラムで勤務しています。

 

Q2. 腫瘍科の看護師さんとしての毎日はとてもハードなものと想像します。日々のスケジュールがどのようなものかをご紹介いただけますか。

ハイリスクブレストプログラムと低所得者層の検診プログラムは外来で行っています。

ハイリスクブレストプログラムでは乳がんのリスクが高い患者さんたちを中心にカウンセリングと診察を行っています。

初回診察では1時間近くかけて、患者さんのリスクの査定、遺伝子検査、これから行っていくであろう画像診断や、検査の説明、乳がんにかかりにくくさせるための薬物療法や生活習慣など多方向からのケアについて話し患者さん同意の上でそれらを勧めて行きます。

結構説明をすることが多いので、初回診察の方が1日中入ると、一日の終わりには声が出なくなることもあります。(笑) 

低所得者層のプログラムは乳がんと子宮頸がんのスクリーニングをすることが目的ですが、医療機関に何年もかかっていない人も多いので、高血圧などの疾病をはじめ健康管理についての説明もこの機会を逃さないように時間を摂って行います。

診察以外ではカルテの入力と格闘したり、患者さんに検査結果について電話したり、会議やその他の仕事に追われています。

 

Q3. Kaishoさんは、アメリカ(ハワイ)の病院にお勤めなので、アメリカ人の患者さんと接することが多いと思いますが、現状、アメリカ人女性が乳がんになる確率はどれくらいでしょうか。

人種によって差異がありますが一般的には8人に1人と言われています。

 

Q4. アメリカ、特にハワイには、日本から移住した日本人女性が多く在住します。上記の確率で言うと、彼らもひとくくりで「アメリカ人女性の乳がん患者」というカテゴリーに含まれると思うのですが、アメリカに移住した日本人に乳がんが増えた理由はなんだと思われますか?

食生活をはじめとする生活習慣の変化です。現在日本でも50年前に比べ乳がんの罹患率は7倍になるといわれています。

また日系1世に比べて2世3世の乳がんになる率は上がっていきます。

 

Q5. 乳がんを患った場合の、アメリカ人女性と日本人女性の向き合い方の違いなどを発見することはありますか?

同じ文化の中で育ってきていても人それぞれ違いはあると思いますが、日本の人は家族や自分の持っている疾病や不幸な出来事について隠したがるように思います。

アメリカ人は一般的に初対面の人にもオープンにそういう話をする人が多いので実際の問題点が把握しやすく解決にたどり着けるように思います。

日本の人は言葉の壁や医療に対する文化の違いがあるので、勧められるままに治療に入る人が多いと思います。

アメリカ人は治療についてもあまり妥協しません。

例えば術式、薬物療法、放射線治療についても、納得するまでYESとはいわない人が多いです。

その選択が良い悪いに関わらず、自分自身の問題として受け止め人まかせにしないように思います。

 

Q6. アメリカに移住した日本人女性が乳がんを患った場合に考えられる、不都合や困難にはどんなものがあるのでしょうか。

言葉の壁と文化の違いだと思います。

こちらでは予後や余命についてオブラートに包まずはっきりと言われることが多いために戸惑う日本の人を何度か目にしたことがあります。

あとは診断から手術までの間が短かく、それ自体はいいことだと思うのですが、事実を呑み込めないまま手術に向かう人も多いかもしれません。

また言葉の壁があるために現存するサービスを知らなかったり、うまく利用できない人もいます。

 

Q7. そういった人たちに必要な、こんなものがあったらいいと思うサービスや施設はありますか?

日本語でのサポートグループがあるといろいろな情報交換ができたり、母国語で自分の気持ちを打ち明けることができるのであったらいいなと思います。

こちらには治療が滞りなく行われるようなヘルプや情報を提供してくれる(例えば 経済的な相談、治療中のチャイルドケアやトランスポートなど多岐にわたって)ナビゲーターという役割の人がいたり、がん治療後に再発やほかの癌にかかるという不安を抱える人の多い中、サバイバーシップというサポートプログラムもありますがこれらのサービスが日本語で受けられたらいいかと思います。

 

Q8. 看護師さんからの観点で、乳がんを予防するために日頃女性が気をつけた方が良いと思われることはありますか?

これは私がいつもクリニックで言っていることですが

  • 肥満防止 (肥満細胞が増えるとエストロゲンというホルモンが増えてエストロゲンで増殖するがんになりやすくなります。)
  • エクササイズをする (エストロゲンのバランスを保ち、エクササイズで気分が良くなりストレスも減るので2つの面からがんの予防になる。)
  • 健康な食生活 (野菜果物を中心に、甘いものはがん細胞が好きなので避ける、加工品は減らす、焦げた部分は食べない。)
  • お酒はあまり飲まない 
  • 喫煙はしない
  • 夜更かしはしない (ホルモンバランスが崩れてしまう)
  • ストレスをためない (信頼できる人や専門家に相談する。自分の好きなことをする時間を作る。)
  • 乳がんの自己検診を月に一度行う (生理の終わった時に行いあれっと思ったら医療機関にすぐに相談する。)
  • 定期的に乳がん検診に行く (マモグラムの放射線量はハワイとアメリカ本土を一往復するくらいの飛行機内で自然に受ける放射能量と変わらないといわれています)

 

またナースプラクティショナーの立場として強調したいことは自分に余裕をもって生活をしBODY MIND SPIRITのバランスを保つことが大事であると思います。

 

Q9. 看護師さんからの観点で、乳がん治療中に心がけたい点をいくつか教えてください。

治療などについてわからないことは通訳を使ってもクリアにしてほしいと思います。

医療者は単なるサポーターで自分のための治療ですから遠慮はしないでほしいです。

また辛い時は辛いと誰かに助けを求めてください。

自分の置かれている状況、例えば仕事や人間関係などにとらわれず何が今一番自分にとって大切か考えてください。

 

Q10. 看護師さんからの観点で、乳がんの予後で心がけたい点をいくつか教えてください。

乳がんの治療終了後に再発やほかへの転移などの不安を持ったままでいると、パニックになったり鬱になったりすることが多々ありますがこれは当たり前の反応だと思います。

一人で悩まず、同じ悩みを抱えた人と話したり、専門家にカウンセリングを受けたりして下さい。

また乳房切除術やリンパ節切除術を行った人はリンパ浮腫になりやすいので、積極的に体を動かすことをお勧めします。

リンパ浮腫は術後だけでなくだいぶたってから起こることもあります。

ハワイにはリンパ浮腫専門のフィジカルセラピストやエクササイズもあるので予防のために利用してください。

 

Q11. Kaishoさんが考える、女性の力、とはどんなものでしょうか。

とても難しい質問ですね。

優しさ、包容力、内に秘めた強さ、でしょうか? 

私が憧れるのはこれらを兼ね備えた女性です。

人に“いいよ”と両手を広げてあげられる人です。

この行動の内には優しさ、“いいよ”といったことに対する責任を取る強さと潔さ、無償の愛が含まれていると思います。

 

Q12. 最後に、今闘病中の乳がんの女性に向けてのメッセージをお願いいたします。

つらい時は辛いと言い、泣きたいときは思い切り泣いてください。

今は想像を絶するほどつらくてしんどい毎日だと思います。

だからとにかく一日一日を踏ん張ってください。

 

辛さを乗り越えた先にあるものは人間としての成長だと思います。

そして成長することこそが生かされる真の意味だと思います。

 

Dove 鳩

 

追記

魁生さんは、西洋医学のナースプラクティショナーですが、

「いろいろな経験を経て、Body-Mind-Spiritを統合したケアをしたい。

私の仕事は乳がんの治療よりも、予防、早期発見、遺伝子検査なんです」とおっしゃるほどの、

いわゆる東洋よりなマインドをお持ちです。

アメリカに住む日本女性が乳がんになった時、言葉の壁を筆頭に、

とにかくあらゆることで困り路頭に迷います。

私の例で言うと、がんの宣告を受けて頭の中が真っ白状態なのに、

医者は訳のわからない言葉でまるで録音したテープを回しているように

次から次へと「必要事項」をまくしたてるんですよ。

ムナグラ掴んだろかいぃぃっっ?と思ったことをよく覚えてます。笑

だから、魁生さんのような、日本語で病気のことを相談できる医療関係者がいてくださることは、

私たちハワイに住む女性にとっては本当にありがたいのです。

 

ハワイの女性たち!朗報ですよ〜〜〜。

魁生さんからのメッセージ。

「もし困っていることがあれば直接私にご連絡ください」だそうです!

魁生さん、ありがとう!これからも女性たちの強い味方でいてくださいね。

連絡先

メールアドレス:mineko.kaisho@kapiolani.org

電話番号:808-983-2016

 

 

 

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